アンケート調査や集計の現場でよく聞く、「ウェイトバック集計」って仕組みをきちんと把握していますか?
その名の通り「重みを返す」集計方法です。
この記事では計算方法と、ウェイトバックという手法を使う理由を解説します。
この記事をご覧くださったすべての人にとって有益な情報となりますように。
ウェイトバック集計の概要
「回収されたサンプルを母集団の構成に合わせて集計する方法」
これだけ言われてもイメージができないと思いますので、具体例を用いて解説します。
具体例
1学年に350人の生徒がいる学校があるとします。
この生徒の男女比は約6:4で、男子生徒が200人で女子生徒が150人います。
生徒全体にとあるアンケートを取った結果、回答をしてくれた生徒は合計で200人で、男子生徒は100人、女子生徒も100人でした。
合計200人の回答者の内訳は、賛成が110人で反対が90人となりました。
それぞれの男女比は以下。
- 賛成:男子生徒70人で女子生徒が40人
- 反対:男子生徒30人で女子生徒が60人
ここまでをまとめるとこのようになります。
これを深く考えずに数値だけ受け取ってしまうと、
回答者200人のうち、賛成多数と結論づけてしまいそうです。
しかし回答者の男女比はどうでしょうか。
生徒全体でみると男女比は6:4と男子生徒のほうが多いですが、今回のアンケートでは男子生徒の回答割合が低く、結果回答者の男女比は5:5になってしまっています。
このまま割合を信用してしまうと、アンケートの結果のみを信用したばかりに、全体から見た男子生徒の意見が小さくなってしまっています。
これを公平にするためにウェイトバック集計を活用します。
前述のとおり「回収されたサンプルを母集団の構成に合わせて集計する」ので、回答結果に生徒全体の男女比を加味して重さを戻していきます。
今回の回答者200人を考えたときに、生徒全体の男女比に照らし合わせると、回答者の男女比は、男子生徒が62.5%で女子生徒が37.5%であるべきです。
人数にすると、男子生徒が125人で女子生徒が75人になります。
このあるべきサンプル数を元にして、母集団の構成比に戻すために男子生徒に1.25、女子生徒に0.75をかけることで、回答者数をあるべき割合に戻します。
この数値をウェイトバック値と呼びます。
- 男子生徒100人×1.25=125人
- 女子生徒100人×0.75=75人
ウェイトバック値を賛成と反対の数値にかけていくと、このようになります。
ウェイトバック前は賛成割合が55%でしたが、ウェイトバック後は59%になりました。
この結果が、男女の生徒数を加味した公平な値になります。